心理検査について(2) 2024/9/5
テストという言葉は圧迫的でふさわしくない,という考え方があります*1.たしかに,テストすると言われると,合格・基準点があるのでは,と考えたり,期末テストといった事々を思い出したりして,たいていの場合,自分らの現在の程度を知るためなどの名分はわかるけれども,「テストだって? やったー,うれしい」とはどちらかというと反対の気持ちを抱きやすいものです.検査という言葉も,私などは検定のニュアンスを嗅ぎつけてしまうことがあります(笑)が,みなさんはどうでしょうか? たとえば,病院で受ける身体の検査というものもやはり,ちょっと負担に感じたりすることが多いかもしれません.そうした背景があってかは知りませんが,アセスメントという言葉が,心理学界隈ではよく使われています.日本語としては査定という言葉があてられることが一般的です.心理アセスメント(心理査定)なんて言ったりします.アセスメントとなると少しニュートラルな印象が増す気がします.さらに,もう少し範囲が広くなって,テストや検査だけでなく,対面で会った印象ややり取りをして得られる診立ても,アセスメントには含まれます.
個人的には,言葉を丁寧に見直し,改めていくプロセスは大切な気がしています.古くからある言葉も大切だと思いますし,夏目漱石や中島敦のような文章がすらすら書けたらとてもうれしく思いますが,文学上のこととは別に,言い方に気をつける気持ちは忘れがちなこともあるので,思い起こせるようでありたいと思います.
*1 金児暁嗣.(2004).「質問紙法」.In 氏原寛,亀口憲治,成田善弘,東山紘久,山中康弘(編).心理臨床大事典(改訂版)(pp492-495).培風館.